形状記憶合金協会
会長 土谷 浩一

形状記憶合金の代表選手チタン・ニッケル合金はチタン合金の研究をしていた米国の海軍研究所で偶然発見された、セレンディピティ(偶然な幸せの発見)を絵に描いたような材料です。
 その後、いわゆる”新素材ブーム”の1970年代以降急速に研究開発が進み、特に最近はステントなどの医療デバイス材料として必要不可欠なものに成長しました。さらに強磁性形状記憶合金やニッケル・フリーのチタン系合金を始めとする非常に多くの形状記憶合金が発見され、ここ数年は銅系や鉄系などの新しい形状記憶合金の実用化が急速に進むなど新たな局面を迎えている感があります。
 本会は1983年に通商産業省(当時)の補助を受けて結成された形状記憶合金技術研究組合をその生い立ちとして、1993年10月に結成されました。初代清水謙一会長 (1993-2005)、第2代山内清会長(2005-2016)の下でJIS規格の作成、講習会やシンポジウム、さらに国際会議の開催、書籍出版などを通じて形状記憶合金の普及と啓蒙活動を続けて来ました。
 近年、様々な分野での材料開発動向を眺めていますと、ユーザー企業と素材メーカー、学界研究者の分野を越えた連携が研究開発期間を短縮し、技術イノベーションを生み出す鍵となっていることを強く感じます。
 本会の特徴は、素材メーカーからユーザー企業まで様々な業種の技術者やアカデミアの研究者など、形状記憶合金に関係するたくさんの人たちが集まる、まさに異分野融合の場であることで、この場において新しい形状記憶・超弾性合金の用途が生まれることは関係者一同の共通した願いだと思います。
 今回、会長を拝命し、微力ながら活動の先頭に立って頑張る覚悟でありますが、目的達成のためには皆様のご支援が不可欠であります。

今後とも形状記憶合金協会へ倍旧のお力添えを賜りますよう、なにとぞよろしくお願い申し上げます。